【こんな症例も治りますシリーズ 620】 『 犬の陰部から飛び出した腫瘍(平滑筋腫) 』も 適切な診断と治療で治します

↑ 上の写真は、膣平滑筋腫のCT画像です。

■ 左側が頭側で、右側が尾側です。

■ 真白く横に連なっている部分は、『背骨』です。

■ 右側の赤で囲った部分が、膣平滑筋腫です。 巨大な腫瘍です。

 

参照サイト:

https://00m.in/Cp2od

 

 

犬 ビーグル犬 8歳 メス(避妊手術・未実施)

 

 

【 1カ月前位から、お尻からピンク色のコブが徐々に飛び出してきた。 ウンチもしづらそう。 】という事で来院されたワンちゃんです。

 

 

 

◆◆ 診察してみると、肛門ではなくオシッコが出る陰部から腫瘤が大きく飛び出しています。

 

 

■ シコリを触診してみると、完全にシコリが外に飛び出している訳ではなく、根元は陰部の中に隠れています。

 

 

■ ファーストインプレッション(この子の今までの犬生情報や、五感で収集できる情報)からは、良性の腫瘍だとは思いましたが、一般的なスクリーニング検査で他の病気も含めて異常が無いかを確認しました。

 

 

 

★ そして、最初は排尿困難が無いかの確認と、腫瘍の性状を知るために『 細胞診検査 』を行いました。

 

 

 

■ 画像診断や血液検査から、幸いなことに『 尿道孔を塞ぐような排尿障害は否定されました 』。

 

 

 

◆ 具体的には、まだ、CT検査が容易に行えない時期の症例ですので、泌尿器系のレントゲン造影検査を行い、腫瘍の全体像を把握しました。

 

 

◆ CT検査を行えば、上のような画像が得られると思います。

 

 

 

 

 

■■ 実施した検査結果の結論から、『 良性の膣平滑筋腫 』であり、『 腫瘍の根元は、膣の頭側に寄っているが、手術可能な箇所にある 』と判断しました。

 

 

***

 

 

 

◆◆ 手術方法は、膣の出口からアプローチして、出口を拡げやすいようにメスで切開(会陰切開)を入れて、ゆっくりと腫瘍の基部(根元)が見えるように外部に引っ張るのですが、『 かなり大きい腫瘍なので基部を出してくる事は困難 』です。

 

 

 

■ レーザーメスで、腫瘍の周囲に切開を入れていき、腫瘍が膣にコビリついている力を減張出来たことで、だんだん腫瘍の基部が見えてきます。

 

 

 

■ 腫瘍の基部にレーザーメスで切開を入れていく事で、出血量も少なくて、腫瘍が綺麗に取れました。

 

 

 

※ レーザーメスで膣内にメスを入れると、『 切開部がヤケドのような状態になるので、縫合は特殊な方法を使って離開しない(剥がれない)ように整復します 』。

 

 

 

■ 膣は、尿が通過する場所でもありますが、論理的にキレイに縫合糸で整復すれば、今まで問題が起こった事はありません。

 

 

 

■ 最後に、会陰切開を元通りに縫合して、終了しました。

 

 

 

■■ このワンちゃんには、膣平滑筋腫が女性ホルモンに関連している症例もあるので、再発防止のために避妊手術を後日実施しました。

 

 

 

※ 同様の症状で、かかりつけ医が『 手術出来にくい 』と言われているような時は、ご相談ください。

 

 

 

獣医師 高橋 俊一

 

046-274-7662

 

photo.fahtakahashi@gmail.com

 

Page Top